ビジネスの原点を踏み外したサロン慣習を受けていませんか?

ビジネスの原点は、欲しい物と欲しい物を交換し合う「物々交換」がルーツといわれています。

海側に住んでいる人達の海産物、山側に棲んでいる人達の山菜類、お互いに欲しくても手に入らなくて困っている物同士を納得する量と大きさの物に交換して生活の支えとしていた話は一度は耳にした事があるのではないでしょうか。

その後、物に変わる貨幣が世界中で流通するようになってから現代に至るまで、貨幣(通貨)と同じ価値の物どおしを交える「等価交換」へと変わってきました。

以前私が属していた「美容業界(業界の未来がないとの思いに至り15年程前に退会)」に於いてこの考え方を当てはめてみた場合、美容室側が提供する技術とサービスと、お客様が納得してお支払いになる施術料金は「等価」でなければならない筈です。

しかしながら、業界全ての店舗に当てはまる訳ではありませんが、営業後のトレーニングや休日の技術講習の受講などで忙しく他の業界からの学びや交流する機会が皆無に等しいため、本当にその技術やサービスは必要とされているの?、ビジネスの原点から外れてしまっているのでは?と思える技術やサービスの慣習が根強く残っているのが見受けられます。

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photo credit: 髪の治療院のWEBクリニック

ビジネスの原点から考える本当に必要な技術サービスとは?

あなたが美容室を利用した際、

クロスが苦しくないですか?(苦しくないように付けてよね?)」

首は痛くないですか?(痛かったらどうしてくれるの?)」

お湯の温度は熱くないですか?(熱かったら火傷するのでは?)」

痒い所はございませんか?(痛いのを我慢しているんですが?)」

時間を掛けて施術やサービスを提供したのだから、お客様から料金を頂くのはごく普通なのでは?

お任せします!といわれて精一杯施術したのに、仕上げてから気に入らないと言われても?

パーマの掛かり具合やヘアカラーの色が希望と違って気に入らないのに料金を払わなくては行けないの?

傷まないパーマです!と言っていたのに、どう見てもツヤが無くバサバサじゃない?(掛け直してくれるって言われたけど同じ失敗されそうで怖いから遠慮するわ。)」

心の中で上記の様な不満を抱いた事はないでしょうか?

美容師といえど人間ですから、誰しも間違いや失敗はあります。

この失敗やミスをした時に如何に迅速に対処して謝罪し、お客様の満足感を引き出す努力をするか?が問われていると思います。

以前の私は職人気質や技術力の高さというプライドが邪魔をして己の非を素直に認められず、パーマやヘアカラーでのミスの要因をお客様の髪質に摺り替えていた事も多々ありました。

最近では「申し訳ございません」と素直に謝って、直ぐその場でやり直しをさせて頂いていますが(時間がない場合は後日、お客様の都合の良い日時で)、出来うる事を全て遣り尽くしてそれでも納得されない場合は、全額返金させていただいています。(21年間運営して、数える程の事例しかありませんが…。)

大切なのは、お客様が「あなたの美容室を選んでくれた」から、技術とサービスを提供する機会が与えられたという事実。

その選択肢に答えるように技術やサービスを始めとする仕組みづくりに磨きをかけて、お客様の悩みや困りごとを解消したり希望を叶えることで「お客様が納得していただいて初めて」施術料金という対価を頂く事が出来る。

即ち「お客様のリクエストに応える美容室側の技術とサービス」と「お客様の希望や悩み事の解消を叶えた満足感」は等価交換で成り立っている、このビジネスの原点を踏み外さないように絶えずチェックして軌道修正してく事が必要不可欠だと、私は考えています。

髪の治療家 田中和義 より