同じ色で染めても仕上がりが違う色になるのは何故なの?

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毎回同じ色で染めてくれるようにリクエストを出していますが、色の仕上がリに微妙に差が出てしまいます。

それは、髪の毛が元々持っている色素のバランスが人それぞれ違うからです。

髪の色がひとり一人違うワケ

私たち人間の髪の毛の色は、黒髪・金髪・銀髪・栗色・赤毛…など、居住地域や人種によって様々。

昨今では体に摂り入れる食物がずいぶん欧米化に傾いてきたせいか、髪の色だけではなく瞳の色までもが、黒から茶色へと変わってきているようです。

その髪色の違いを決めているのは、キューティクルの直ぐ内側の筋肉や繊維部分(毛皮質)に多く含まれている、色の源である色素(メラニン色素)です。

この色の源である色素(メラニン色素)には「ユー型」と「フェオ型」の2種類があります。

濃い褐色の色の素を持っているユー型黄色から赤に近い色の素を持っているフェオ型、この2つのメラニン色素の異なるバランスが、黒髪から赤毛、銀髪・金髪などの様々な髪の色の違いを醸し出しているのです。

そして、これら2つの色素(メラニン色素)を作り出しているのが、色素を生み育てている細胞(メラノサイト)です。

色素を生み育てている細胞(メラノサイト)は、毛根部分の一番下にあって髪の製造工場の毛母細胞と入り混じるようにして存在し、製造した色素(メラニン色素)を毛母細胞へと送り込んでいます。

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【断面図−メラニン】
photo credit: 髪の治療院のWEBクリニック

上記の図に示した様に、日本人の黒髪には大量の濃い褐色の色の素を持っているユー型と少量の黄色から赤に近い色の素を持っているフェオ型がありますが、金髪にはほとんど黄色から赤に近い色の素を持っているフェオ型しか含まれていません。

これら2つの色の源である色素(メラニン色素)の量や配合バランスの異なりが、黒色〜暗い茶色〜明るい茶色といった人それぞれの髪色の違いを生んでいるのです。

また、栄養の貯蔵庫(毛乳頭)から送られた19種類のアミノ酸と16種類のミネラルを栄養源に髪の卵の素(毛母細胞)が分裂を繰り返すことで、次から次へと髪の卵である毛芽が造られその過程で髪の中に色素(メラニン色素)が定着し、髪に色がついていきます。

そして、色素を生み育てている細胞(メラノサイト)が色素(メラニン色素)を作る時にどうしても欠かせないのが、チロシナーゼという酵素。

しかしこの酵素、40才を過ぎたあたりから徐々に減少し、だんだん色素(メラニン色素)が不足気味になるため、白髪になる本数の増加に繋がると考えられています。

但し、白髪といえど完全な白になる方はごく少数で、ユー型またはフェオ型のどちらかの生産が続いているうちは、老化しても黄色味もしくは灰色味を帯びています。

染めてから時間が経ったとき、黄色(金色)っぽく色が変わっていくあなたは黄色から朱赤に近い色の素のフェオ型が多く、赤橙っぽく色が変わっていくあなたは濃い褐色の色の素を持っているユー型が多い事実をご存知でしょうか?

髪の治療家 田中和義 より

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