
スタイリストになってから1〜2年目の頃は、あなたって「カットがとっても上手ね!」と、
担当したお客様から言われると、心ココに有らず状態で舞い上がっていた事をよく覚えています。
今こうして振り返ってみると、「カットが上手」とはどういう事を指しているのだろう?
「流行の髪型に仕上っている?」「髪がまとめやすくなった?」「カットラインが綺麗?」
考えても考えても答えから遠ざかっているような気がしてなりません。
カットが上手いだけ美容師で本当に良いのか?
カットまで担当できる技術者になりたての頃は、
あなたって「カットが上手ね」なんてお客様からお褒めの言葉を頂くと、
やったー!と心の中で叫び、益々カットのトレーニングに熱が入るというものです。
1つでも髪型のレパートリーを増やしたいと、休日に行われているカットの講習会に積極的に参加し、
早く正確に髪型を仕上げる事ができるまで、マネキンを使って繰り返しトレーニングに励みました。
しかしながら、いくら流行の髪型を勉強しても、クオリティが高い髪型を提供しても、
お客様に気に入ってもらうことができなければ、カットが上手いとはいえないのではないか!と気付き始めました。
それからは、外部で行われているカットの講習会に参加することを一切止め、
サロンで購入している雑誌でその年に流行の髪型とエッセンスを学び、今まで習ったカット技法を一旦リセットし
常識にとらわれない切り方に組み直して、一人ひとりの顔形や個性に合わせたポイントで髪型を作っています。
美容師になって30年余、髪の治療家として活動し始めて4年目となり、カットが上手ね!と言われることはめっきり減りましたが、全然気にならなくなりました。
カットが上手いね!と言われると確かに嬉しいです。
しかし私は「素敵な髪に仕上がっていますね」「ツヤのある美しい髪ですね」と、
髪の美しさを褒められると最高にハッピーな気分になります♪
髪の治療家 田中和義 より