以前はタオルで水気を取ってあげれば直ぐに毛先が乾いた状態になったのに、最近はドライヤーを掛けても掛けてもなかなか水気が抜けてくれない。
一体どうして私の髪はこんなに乾きにくくなったのかしら?

乾き始めに5分以上掛かるあなたの髪は痩せる危険性があります
あなたは、ドライヤーで髪を乾かすのにトータルでどのくらいの時間が掛かったか、毎回チェックしていますか?
殆どの方は意識していないと思います。何故なら、髪が乾きやすい乾きにくい症状は「髪質の違い」として考えられているからです。
1980〜90年代でしたら、「枝毛」によって髪がダメージを受けている事を教えてくれ、髪はすぐに乾いてしまいました。
しかし2000年代に入ると、「枝毛」はだんだん姿を消してしまい、昨今では見掛けることすら皆無。
ヘアケアに使用する整髪料の変化とともに、髪ダメージのメカニズムも変化して、傷んでいる割には乾きにくくなってしまったのです。
厄介なことに、この髪ダメージの変化に髪のプロである美容師や美容家でさえ殆ど気づいていません。
乾きにくさは髪が痩せて切れ毛へと進行する危険性が高い初期症状
では何故“髪が乾きにくい”と“髪痩せ”の危険性が高いと言えるのでしょうか?
キーワードとなるのは、天然由来の「植物油脂」にあります。
それまで主流だった「シリコン」に変わり、ささくれたキューティクルを保護しながら手触りの良さを演出する成分として、2010年頃からシャンプーやトリートメントなどの整髪料に配合されるようになった「天然由来の植物油脂」。
このバターやラードに匹敵する高濃度の「天然由来の植物性油脂分」は、ささくれたキューティクルの隙間に入り込んだり、洗浄剤とともに毛髪内部(毛皮質)に侵入して損傷したタンパク質の傷口に吸着します。
キューティクルは、髪が濡れている時は閉じて乾くと開いて反り上がる性質があり、空気中の空気を取り込んだり水分を出し入れして髪内部の水分量を調節したりする弁の役割をしていますが、
ダメージを受けたキューティクルや髪内部の傷口に吸着した植物性油脂分の「乾くと固まる性質」が、キューティクルの弁の機能を狂わせるため、
髪内部の水分が外に出にくくなってしまうだけでなく、紫外線により植物性油脂分が酸化して髪内部のタンパク質やキューティクルを劣化させてしまいます。
弁の機能に狂いが生じたキューティクルでは、髪内部の水分の排出が上手くできないため、ドライヤーの風や熱を当ててもなかなか乾かない症状となり、紫外線酸化での劣化によりゴワゴワした硬い手触りの髪質に変化してしまうのです。
さらに、このまま放置する期間が長いほど髪内部が徐々にスカスカ(空洞化)となり、切れ毛へと進行する確立も高くなります。
乾きにくさやゴワゴワの手触りを感じ始めたら髪痩せの初期症状です!
髪の治療家 田中和義 より