愛用のシャンプー・トリートメントで髪がベタベタに?

2015年も8月に入り、6日間で5件のお悩み相談をいただいていますが、そのうち2件が「髪の毛のベタつき症状」を訴えているものでした。

一人の方は10年以上、もう一人の方は15年以上「長年愛用してきたシャンプー・トリートメントで、ある日突然髪の毛がベタつき始めた?」と言っています。

はじめのうちは、シャンプーの仕方や洗い方が足りなくて汚れがしっかり落ちなかったのかな?と思っていましたが、シャンプー剤の使う量やゆすぎの時間を増やしても一向に改善してくれません。

それどころか「髪の中から油(脂)がジュワっと滲み出してくる症状」は、日に日に悪化しているような気がします。

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photo credit: 髪の治療院のWEBクリニック

上質な手触りと簡単便利を求めた弊害

過去のお悩み相談を振り返ってみても「頭皮のベタつき」を訴えるケースがほぼ100%でした。

今回のように「洗っても髪の毛が油(脂)でベタベタ」「触った手を水につけると弾く」「洗っている時も重い感じ」「ドライヤーしてもなかなか乾かず髪はバサバサ」「毛束に油分がくっついている感じがする」髪のお悩み相談を受けた事例は殆どなかったのですが、2013年頃から少しずつ耳にし始め2015年に入り急増しています。

いったい今、私たちの髪の毛に何が起こっているのでしょうか?

濃密になった保湿剤、閉塞剤、エモリエント剤などの油脂成分

キューティクルを保護するシリコン含有整髪料が多くの方達から支持を得ていた1990年代頃の製品に比べ、2000年代以降に台頭して来たノンシリコン整髪料・濃密オイル系整髪料は、何といってもその柔らかくて軽い「ふわサラな手触り」と、フワっとほのかに漂う「香りの良さ」が簡単に実現できる便利な美容製品とあって、瞬く間に子供から大人の女性のハートをグッと掴んでしまいました。

その反面、手触りの質感向上が主な目的のバターやラードのような濃密で固まるタイプの油脂成分(保湿剤、閉塞剤、エモリエント剤)が、整髪料類に大量に配合されるようになった事実は全然知らされていません。

パワーアップして増量された洗浄成分

バターやラードのような濃密で固まるタイプの油脂成分(保湿剤、閉塞剤、エモリエント剤)が大量に配合されているということは、大量のお湯でゆすいでも髪内部の隙間部分に固まったままとどまり続けるため、髪の重さはかなり増加していることが読み取れます。

ですから、髪のハリ・コシ・ツヤの維持・再生といった生態系が破壊されて髪の芯が細くなって弾力が弱まった髪は、油脂成分の増加分の重さを跳ね返す力が失われてしまうため、徐々に根元が立ち上がらなくなってペシャンとしてしまうのです。

そこで、ふわサラで軽やかな上質な手触りと香りを簡単に再現するため、洗浄成分をパワーアップすると同時に増量することで、軽やかな手触りと香りの良さの仕上がりバランスをベストに調整したのです。

しかしながら、シャンプーやリンス・トリートメント類に配合されるようになったこれらの油脂成分(保湿剤、閉塞剤、エモリエント剤)は、傷ついたキューティクルの隙間から毛髪内部にまで入り込んで皮膜をはることで、空気や皮脂や老廃物の代謝運動が遮られて髪のハリ・コシ・ツヤの維持・再生といった生態系が著しく破壊される事態を引き起こしていることに、殆どの美容師や美容家は気づいていません。

それどころか、ノンシリコン整髪料・濃密オイル系整髪料・オーガニック系整髪料は「お肌に優しく髪を痛めない」と、実に多くの美容師や美容家自らが推奨しているくらいですから、「髪の中から油(脂)がジュワっと滲み出してくる症状」を相談されても、ベタつきのメカニズムの理解不足で適切なアドバイスができません。

そして、いくら石鹸や強い洗浄力のシャンプー剤の使用量を増やしたり、シリコン除去や炭酸ヘッドスパなどのヘアケア施術を行っても髪の表面上の油脂しか取れず、髪内部の油脂はジワジワと表面に染み出てくるため、症状が改善に至らないのはある意味当然と言えます。

「洗っても髪の毛が油(脂)でベタベタ症状」を改善に導く本物の手当は、脱脂力の強いシャンプーやヘッドスパではなく、髪内部の油脂成分(保湿剤、閉塞剤、エモリエント剤)を髪の外側に排出するデトックス(解毒)ケアです♪

髪の治療家 田中和義 より