髪が発信している痛み・苦しみのシグナル(悲鳴)

本来、毛髪には濡れると栄養分の流出を防ぐように「キシキシしてクシが通りにくくなる」キューティクルを引き締める力(収斂(しゅうれん))が働き、乾いていく過程で「髪一本一本が絡まないようにキューティクルがせり上がって」健康を保つ機能が備っています。(湿り気のある松ぼっくりは閉じている、湿り気が蒸発するに従って松ぼっくりは開いてくる性質と同様)

しかしながら、リンス・トリートメントの普及のためにいつの間にか、髪は濡れるとキューティクルが開き、乾いてくるに従って徐々にキューティクルは閉じていく毛髪理論にすり替えられ、「濡れてもツルツルしてクシ通りが良い状態」が傷みのない健康な髪の常識として、世間一般に定着してしまったのです。

もしこのまま手触りの良さで見せ掛けを誤魔化し続けていると、徐々に髪が言うことをきいてくれなくなるでしょう。

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photo credit: 髪の治療院のWEBクリニック

痛んだ髪のシグナル(悲鳴)

もしお肌にほんの小さな「シミ」を見つけた時、あなたならどうしますか?

まず最初に、ファンデーションで「目立たないように隠そうと」しませんでしたか?

このお肌の手当てと同じことを、補修補正という名を借りてリンス・トリートメントを使用して「傷みを目立たないように隠している」ヘアケアを日常的に行っているのですが、美容の常識として無意識に行っているため、本当は髪を痛めているという事実の隠蔽に気づいていません

キューティクルがささくれる、髪をとかす時クシが引っ掛かる、髪がパサつく、髪がプチプチ切れる、髪が広がってしまう、湿気でうねってしまう…、これらは健康悪化を知らせようと髪が自ら発信している痛み・苦しみのシグナル(悲鳴)です。

これらの髪ダメージのシグナル(悲鳴)が発信されているにもかかわらず、シャンプー後やトリートメント後の手触りの良さで、約9割の方達がついつい健康になったと誤魔化されているのです。

今後、年齢を重ねながら健康な髪を育てようとしたら、今の「手触りの良さで健康状態を判断する!」「トリートメントが髪を美しくする!」美容の常識を捨てる必要があります。

そして、濡れている時はキュキュッとした手触りと引き締まりを感じ、ドライヤーで乾かすと「髪が乾くのが早くなった」「乾かした後、髪がふんわり軽い」「1本1本がサラッと指通りが滑らか」…等、乾かした後の状態が、混ざり気のない髪の健康指数を表していることを知ってください。

あなたは髪の痛み・苦しみのシグナル(悲鳴)をトリートメントで隠蔽していませんか?

髪の治療家 田中和義 より