私がパーマ液やヘアカラー剤のブランド思考を止めた理由

150117-KL014-medium_5713044349
Pocket

150117-KL014-medium_5713044349
photo credit: Sigma.DP2.Kiss.X3 via photopin cc

先日、浜松市中区在住の馬渕景子様(仮名)より髪ダメージのお悩み相談メールをいただきました。

私自身はもういい加減なくなっているだろう?と思っていたのですが、依然として多い「パーマ液やカラー剤の有名ブランド思考」。

『美容師さんの「有名メーカーの傷まないパーマ液を使っています!」言葉を信じて約10年ぶりにパーマを掛けてみたのですが、家に帰ってシャンプーしたらバサバサの手触りで広がってしまい、ツヤも全然無くなってしまいました。』

「当サロンでは傷まないパーマ液を使っています!」「保湿成分高配合のカラー剤使用だからノンダメージ!」このようにご紹介されると、

高品質で特別なパーマやヘアカラーを想像してしまいますが、いざ体験してみたら説明とはぜんぜん違う仕上がりに絶句。

髪の痛みも酷かったこともあって、やり直しをお願いしようにも「同じ失敗をされたらどうしよう?」との恐怖心から「別のサロンで施術を受けた」体験談を良く耳にします。

パーマは手作業による技術、ヘアカラーは計算式による色味調整

パーマというと「パーマ液が良ければ傷まない」とイメージする方が多いと思いますが、実際にはパーマ液をつける行為はパーマ施術の中の作業のひとつに過ぎず、

「とかす」「巻く」「ゴムで止める」といった人間の手作業による技術が加わってはじめて、ウェーブやカールといった髪の形を変えることが可能となります。

一方ヘアカラーは、自分の毛質・明るさ・色味を加味して希望の色に仕上がるよう計算式を用いて配合量を決定し、

「とかす」「塗る」といった人間の手作業による技術で色味調整を行います。

そして、パーマやヘアカラーの施術の過程で髪を傷めてしまう原因の約8割は、この手作業の技術的な欠陥や薬液の選択ミスで起こります。

その他に、パーマやヘアカラーの施術でお客様が一番気にされるのが、使用する薬液の品質。

パーマやヘアカラーの薬液には良いも悪いもありません

一般的には「髪の保護・保湿成分が高配合=良い薬剤」とされていますが、これは80〜90年代にかけてパーマやヘアカラーが普及した時、ごく一部の美容師による解釈がそのまま受け継がれてしまった名残。

そこにあるのは、健康毛〜ダメージ毛の各状態に合わせて、均一に作用するよう調節されたパワーの異なるパーマ液のみ。

これらを美容師の経験と髪質診断を元に、髪に余分な負担が掛かり過ぎないように使い分けています。それ故、美容師の目利き力や技量が低い場合、髪の傷みに直結する訳です。

“傷まない”より“痛めない”技術と心遣い

ですから「傷まないパーマ液の使用」「パーマ後にトリートメントを付ける」髪の健康を軽視した感触重視の創意工夫のない施術では、パーマのダメージを防ぐことは出来ません。

もし、あなたが「パーマをかけたいけど髪は傷めたくない」とお考えなら、

パーマやヘアカラーの施術前に「どれだけ手間隙を惜しまずに髪の状態を整える手当てを行なっているか?」

パーマやヘアカラーの施術に「髪や身体に痛さや熱さといった負担が掛からない技術を行なっているか?」

髪とお肌を痛めないための創意工夫と心遣いで判断して下さい。

その後、本物の毛髪化学を受講する機会を得ましてパーマやヘアカラーの薬剤に良悪のランクは存在せず薬剤だけではダメージがゼロにならない事を学んだ私は、

パーマ液やヘアカラー剤を導入する際に有名ブランドだからというブランド志向で可否の判断を下すことを一切やめさせていただきました。

髪の治療家 田中和義 より

Pocket