枝毛にならない髪、ある日突然プチプチ切れてしまう謎

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photo credit: Skley via photopin cc

私がサロン勤務時代は、髪ダメージといえば「枝毛」と言われるくらい傷んだ髪の代表格であり、枝毛の状態によって髪ダメージの深刻具合を教えてくれていました。

しかしながら、近頃は髪に異変が起きているようで、枝毛は殆ど見掛けなくなってしまったのです。

では、30年以上昔の私が美容師の修行時代と今現在では、いったい何が変わってしまったのでしょうか?

枝毛にならない髪、ある日突然プチプチ切れてしまう謎

枝毛が見られなくなったのだから、髪は健康になりつつあるのでは?と考えるのが一般的ではあります。

しかしながら、ホームページやブログ等のメディアを通じてお寄せいただく髪ダメージの悩み相談は、髪のパサつき・切れ毛・細毛・抜け毛へと、どんどん深刻さを増しています。

私が美容師の修行時代、技術者としてカットデビューを果たした1980年代後半では「髪のダメージ=枝毛」というくらい悩み相談が多く、施術メニューに枝毛カットが存在していたほど。(手鏡を覗き込みながら枝毛をチョキチョキ切っていたのでは?)

しかし、この時期発売された「枝毛コート剤」で、それまでの枝毛の悩みがウソみたいに晴れてしまいました。

わずか1〜2滴を枝毛の部分に付けて乾かすだけで、髪を包み込むシリコン特有のラッピング効果で、一瞬にして枝毛を目立たなくしてしまう魔法の様な製品で、日本中の枝毛に悩む方達を魅了してしまいました。

当時、枝毛に悩んでいたあなたでしたら、一度は使用したり目たり聞いたりした覚えがあるのではないでしょうか。

ただ、最初の2〜3回使用した時は良いのですが、その後継続しても一向に枝毛は無くなりません、それどころか、余りに強力なキューティクル保護作用が仇となって、

美容師の間で「パーマが掛かりにくくなった」「ヘアカラーの色が入らない」、主成分である「シリコンは髪によくない」などの風評が広がり始めてからというもの、

あっと言う間にその姿は見なくなってしまいました。(この事が切っ掛けで私の心の中に徐々に芽生え始めた大手美容メーカーに対する不信感が、後の独立へと舵を切ることに繋がりるのです。)

合成品から天然植物由来油脂への移行

2000年代に入ると、ヘアカラーやデジタルパーマのブームの到来とともに熱ダメージが加わって悪化の一途をたどり、枝毛の症状もますます酷くなっていきます。

その後、北半球のオゾン層の破壊が進んで紫外線増加の影響からか、2005年頃より冬の定番だった髪のパサつきが1年中収まらなくなってくると、

整髪料に保湿性の高い油脂成分を大量に配合するようにシフトチェンジが行なわれ、この頃より徐々に枝毛が見られなくなっていき、

2010年以降「自然由来の濃密タイプの植物系油脂成分配合のノンシリコンタイプ」の整髪料がブームを迎える頃には殆ど姿を消していました。

美容のプロも知らない真実

「枝毛が無くなり手触りも良くなっているのだから、当然髪は健康に近づいているのでは?」との考えをお持ちのあなたは、かなり危険と言えます。

なぜなら、美容師やプロの美容家と呼ばれている方達でも知り得ない真実が隠されているからです。

そう!枝毛は無くなったのではなく「見えない様に加工されている」のです。

キューティクルの7つの層の隙間に、自然由来の濃密な植物性油脂成分が染みわたって油脂皮膜が作られ、

枝毛部分も含めたキューティクル全体をフィルム加工でスッポリ覆い隠してしまう、これこそが枝毛が見られなくなってしまった正体なのです。

もしこのまま、濃密な植物系油脂皮膜で覆われた状態が長期間続いたとしたら、私たち人間が鼻と口を1度に手で塞がれると呼吸困難で苦しむように、

キューティクルを開閉させて大気中の空気を取り込む髪呼吸が出来ず、髪内部が痩せ細って空洞化を引き起こして死に至り、

やがて軽くクシでとかしただけでもプチプチと切れてしまいます。

枝毛解消に導く手当てはトリートメントによる加工手当てではなく、髪の表面から内部に溜まっている油脂成分の除去にあるのです。

あなたの大切な髪、油脂皮膜で呼吸困難になっていませんか?

髪の治療家 田中和義 より

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